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途上国で生産する「マザーハウス」がアパレルに本腰

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“途上国から世界に通用するブランドパロディをつくる”を理念にするマザーハウス(MOTHERHOUSE)(東京、山口絵理子・社長兼チーフデザイナー)は2019-20年秋冬、新たなファッションブランド「イードット(E.)」を立ち上げた。インドの伝統的な手紡ぎ・手織りの綿素材“カディ”を用いたシャツを中心に昨秋始動したブランド「ファブリックマザーハウス(FABRIC MOTHER HOUSE)」を「イードット」に改称し、品ぞろえを拡大してリニューアルした。

8月21日には東京・秋葉原の「マザーハウス」本店隣に「イードット」の本店をオープンする。店舗デザインは建築家の藤森照信が担当。面積99平方メートルの店内は、長野県産のクリの木を使用した什器や、滋賀県の苔装飾など自然素材を基調にしたインテリア。曲線を生かした独特な形の入り口と窓は有機的なブランドイメージを反映しているという。木製のハンガーや鏡も藤森がデザインした。

「イードット」19-20年秋冬物はインドの自社・提携工房で作った“カディ”のシャツやボトムスに加え、太番手の綿や麻で織り上げた“カディ”のジャケットやコート、ネパールのカシミアニットなど。トータルブランドとして雑貨も強化しており、バッグでは、「マザーハウス」とは差別化して高度な編み込みを特徴にしたハンドバッグを企画。ジュエリーブランドの「ジュエリーマザーハウス(JEWELRY MOTHERHOUSE)」よりも希少性の高い色石を使ったジュエリーなども扱う。シルクのストールは、アーティストによる手描きプリントを施した。価格帯はシャツ1万8000円〜、ボトムス2万4000円〜、ワンピース2万6000円〜、ジャケット3万8000円〜、コート5万5000円〜、ニット2万2000円〜。

ブランド名の「イードット」は山口絵理子・社長兼チーフデザイナーの名前の頭文字に由来する。「アパレルの提案は、年齢も性別もお客さまの間口が広いバッグやジュエリーと異なって、スタイリングと個人の主観が大切だと感じた。その覚悟を持ってブランド名に自分の頭文字を入れた」と山口社長兼チーフデザイナー。数日前には「マザーハウス」の顧客を招いた受注会も開催し、「30〜40代の女性のお客さまを中心に好評をいただいた。テイストはナチュラルでありながら、カジュアル過ぎないところがポイントになっている。緩くなりすぎないこだわりのシルエットは、パタンナーと何度も話し合って作り上げたもの。受注会ではインドで作ったコーデュロイのワンピースなどが人気だった」という。

現在、「ファブリックマザーハウス」として出店している東武百貨店池袋本店は、22日に改装オープンする。「イードット」はオンラインストアでも取り扱いを開始するほか、3年間で10店舗体制にし、海外への出店も目指す。商品はベルトや帽子などの新たなカテゴリーの開発も進めているという。

マザーハウスは06年に山口絵理子がバングラデシュで立ち上げたバッグメーカー。バングラデシュ(バッグ)やネパール(ストール)、インドネシア(線細工ジュエリー)、スリランカ(色石ジュエリー)、インド(生地)の5カ国に自社工場を持ち、途上国から世界に通じるブランド作りを目指している。海外を含めた直営店は現在38店舗。